パティシエになる4つの方法
パティシエは資格が無くてもなれます。
そのためパティシエとしての知識、技術を習得していることを証明するために国家資格の「製菓衛生師」、または「菓子製造技能士」を取得するのが一般的です。
パティシエとして活躍するには、洋菓子やデザートを作る技術だけではなく、食品の衛生管理や栄養、食文化などの知識も必要となります。
一般的には、専門学校で知識・技術を身に付けながら、国家資格を取得してパティシエとして就職する方がほとんどです。
もちろん洋菓子店で働いてパティシエのアシスタントからパティシエへとなる方や、独学で学びながらパティシエヘとなる方もいます。
こうしたパティシエになる道筋には4つの方法があります。それぞれにメリット、デメリットがありますので詳しく紹介していきます。
パティシエになる4つの方法は下記になります。
- 専門学校で学ぶ
- 直接、ホテルの洋菓子、メーカー、洋菓子店で学ぶ
- 海外のお店や学校で学ぶ
- 独学する
1.専門学校で学んでパティシエになる方法
製菓専門学校、調理師専門学校でパティシエとしての知識、技術を習得して洋菓子業界へ就職するのが一般的な方法です。
青木定治(町田調理師専門学校)や、鎧塚俊彦(辻製菓専門学校)、吉田守秀(日本菓子専門学校)など、有名パティシエの多くが専門学校で学んでいます。
調理・製菓専門学校で洋菓子について学べる専門学校は全国に140校以上あるので、お住いの都道府県には必ず調理・製菓の専門学校があるので通学も楽でしょう。専門学校によっては、夜間コースが設けられたりするので、社会人の方でも学びやすくなっています。
専門学校は国から設備、授業時間についての基準が決められており、専門学校でしっかりと学べばパティシエとしての実力が身に付くようになっています。有名パティシエも専門学校で基礎技術をしっかり習得していることを忘れないでください。
専門学校では、製菓の知識だけではなく、食品衛生(食中毒や保存知識など)、公衆衛生(アレルギーなど)、栄養学などの食の知識から、色彩やアートなどの美的感覚、店舗経営(経理・マーケティング、開発)、語学など幅広い知識を学びます。特に美的感覚はパティシエとして非常に重要な知識になります。
実習では、洋菓子から和菓子、製パンなど、幅広い技術を学ぶことができます。製菓は種類が多いため、さまざまな菓子を作ることになります。技術習得は大変ですが、非常に楽しいのが実習です。
「このお菓子を作りたい」「こんなパティシエになりたい」という目的がまだ決まっていなければ、専門学校で幅広く学び、そこから自分が作りたいお菓子の道へ進むことができます。
専門学校で学ぶメリット
有名、実力派のパティシエから直接指導を受けながら学ぶことができます。
講師ひとりに対して教えられる生徒数の上限は決まっており、ひとりひとり丁寧に教えてくれます。
実習室の器具、設備についても厳しい基準があり、現場と同様の設備で、実際に使われる素材を使いながら、実践的に学ぶことができます。
こうした環境の中で基礎からしっかりと学ぶことができるため、さまざまな種類の製菓を作る実力を身に付けることができます。
施設内にパティスリーが設備され、一般の方へ製菓を販売している専門学校もあります。お客様に実際に作った製菓を販売することで、商品としてのクオリティや、新商品の開発など、パティシエとしての感覚を身に付けることができます。
海外の有名パティスリーへの研修や留学、地元の有名ホテル・パティスリーでの研修、インターンシップなどが設けられているのも専門学校ならではのメリットです。
また、国家試験の菓子製造技能士、製菓衛生師などの資格取得のサポートや、試験の一部免除などといった優遇を受けることもできます。
製菓業界、地元のホテル・レストランとのネットワークもあり、就職のサポートが手厚いのも専門学校で学ぶメリットです。卒業後の転職活動までサポートする専門学校もあります。
卒業生のほとんどは製菓業界で働いているので、先輩たちとのネットワークが築けることも大きな強みです。
専門学校のメリット一覧
- 器具、設備などが整えられた環境で、実際の材料を使いながら、有名・実力派パティシエから直接指導を受けることができる。
- 実習では数々の製菓を作るので、幅広い製菓技術を身に付けることができる。
- 製菓の知識・技術だけではなく、衛生、栄養、美的感覚、語学、経営など幅広い知識が学べる。
- 海外の有名パティスリーや、地元のホテル・パティスリーでの研修やインターンシップが設けられている。専門学校によってはパティスリーが設備されており、実際の商品製造から新商品開発などを体験できる。
- 資格取得のサポートや、試験の一部が免除される優遇を受けることができる。
- 就職サポートが手厚い。卒業後の再就職までサポートしてくれる専門学校もある。
専門学校で学ぶデメリット
専門学校で学ぶデメリットは「学費が高いこと」です。
専門学校の学費は入学金、授業料、実習費の3つが基本的な学費の内訳になります。
調理、製菓の専門学校は年間の学費が高いことで有名です。
例えば、辻製菓専門学校では年間の学費が214万円で、授業内容もハイレベルですが、学費もトップクラスです。
実習では、多くの食材を使うのでどうしても実習費が高くなってしまいます。実習では高級な材料を使われることもあるので高い実習費は仕方がありません。
ただし、専門的な知識や技術を身に付けることができると言っても、その技術が実際の職場(現場)ですぐに役立つとは限りません。現場ではそれぞれのやり方がありますので、理論通りにはいかない事もあります。
学費を安くする方法
入試制度や給付制度を利用することで、専門学校の学費を安くすることができます。
例えば、AO入試や推薦入試、特待生入試などを利用すると入学金や学費の一部が免除されます。
推薦入試、特待生入試は学校の推薦が必要ですが、AO入試は誰でも利用できるのでお薦めです。
AO入試は申し込みの締め切りが早いので、夏頃からオープンキャンパスに参加して専門学校選びを始めてください。
社会人であれば「専門実践教育訓練給付制度」や「教育訓練支援給付金」を利用することができます。例えば「専門実践教育訓練給付制度」を利用すると、学費の40%~60%が戻ってきます。
入試制度や、給付制度を利用するには期限があるので、下記のページで詳しく解説しています。
2.お店で学んでパティシエになる方法
街の洋菓子店、ホテルのレストランで働きながら、調理の基礎知識や技術を習得してパティシエとしての道を進む方法があります。
有名なケースでは三嶋隆夫は大学卒業後に帝国ホテル、辻口博啓は高校卒業後にパティスリーで働きながら修行しています。
未経験者をゼロから指導してくれる洋菓子店やレストランなども多くあります。まずはアルバイトやパートで雇ってもらい、洋菓子作りの知識や技術、接客などを働きながら学んでいきます。
パティシエを目指すからと言って洋菓子店から働くこともありません。調理が未経験であれば、まずはレストランやカフェの厨房から働くのもお薦めです。初めは調理から学び、製菓へと進んで成功しているパティシエも多くいます。
レストラン、洋菓子店で2年間以上勤務すれば、菓子製造技能士2級や、製菓衛生師の受験資格を得ることもできます。
勤務先のお店で学んだことが自分のパティシエとしてのベースとなるので、働くお店は慎重に決めましょう。
洋菓子のレシピなども、勤務先のお店と同じになることが多いので、洋菓子作りのベースとなる味が本当にそのお店でいいのか、じっくり考えてお店を選ぶことも大切です。
規模の大きいパティスリーでは、作業を分担しています。生地担当やオーブン担当、そして仕上げ担当に分かれて、流れに沿って作業しています。
一方、個人経営のお店では、オーナーパティシエがひとりで全ての作業をこなしているところも多くあります。
こうした店舗でプロのパティシエとして技術を身につけるには、5年以上かかるのが一般的です。
お店で学ぶメリット
製菓の知識・技術を給料を貰いながら、習得することができます。専門学校で学ぶための学費がかかりません。これは大きなメリットです。
仕入れや在庫の管理、包装、接客、販売なども経験することになるので、店舗経営についても学ぶことができます。
「どうすれば売り上げがあがるのか」「どんなスイーツをどのくらい販売するのか」「内装や外装のデザインはどうするのか」など経営者目線で考えることはたくさんあります。
独立、オーナーパティシエを目指している方には、メリットが大きな環境です。
お店で学ぶデメリット
パティスリー(パティシエ)の技術を引き継ぐことになるので、専門学校のように製菓についての幅広い知識、技術を習うことはありません。
勤めたお店が自分の基礎知識や技術のベースになりやすいので、お店で教わったことが適切ではなかったり、間違っていたりしていても、そのことに気付けないこともあります。
学校、学生ではないので、親切に教えてくれる訳ではありません。また、下積み時代には製菓作りとは関係のない仕事や、地味な作業も多くあります。
ただし、専門学校を卒業しても就職先では下積みはありますし、パティシエの基礎となる様々なことを学ぶことができる期間でもあります。
未経験であれば、洋菓子作りの知識や技術が無いため、製菓技術の習得や菓子についての勉強を営業時間が終わってから毎日勉強する事になります。繁忙期には睡眠時間も少なくなり、精神的にも体力的にもキツイことがあります。
専門学校の場合は、手厚い就職サポートがありますが、お店で修業をする場合は、修業後の就職先がなかなか見つからない場合もあります。
ブライダルパティシエのアシスタントがおすすめ
厳しい下積みがある職場も昔に比べて減少傾向にあります。どうしても厳しい環境で働く自信が無い方は、ブライダル業界のパティシエをお薦めします。
求人の数は少ないですが、ブライダルパティシエのアシスタントや補助をおこなう見習いを募集しています。
ホテル、パティスリーよりは、優しい環境となっている職場が比較的多く、ケーキを担当するまでには時間はかかりますが、結婚式のプチギフト(ドラジェなど)や、引き菓子のアイシングクッキーなどから製菓を習うこともできます。
ただし、ブライダルパティシエという特殊な環境で学ぶため、自らも幅広い知識を身に付ける努力も必要です。
3.海外で学んでパティシエになる方法
洋菓子の本場であるヨーロッパで、その国の文化や伝統に触れながら、本場の味や技術を習得したい人は「海外に留学する」あるいは「海外のお店で働く」という方法があります。
例えば、パティシエの社会的地位が非常に高いのがフランスです。
パティシエはフランスでは「国家資格」であり、日本の「医師」に相当する地位です。国家資格なのでパティシエになるには「パティシエの免許」が必要です。
免許を持っていなければ、パティシエ見習いとして働くことはできても、パティシエとしての一定水準のお給料を貰うことができません。
フランスでは、こういった制度があることによって、パティシエの技術水準を高く保っています。
しかし、日本とは異なり、フランスでは女性がパティシエになることは少なく、女性がなりたい人気の職業ではありません。
一方、ドイツでは、女性に人気のある職業のひとつがパティシエで、その半数は女性で占められています。
海外での修行や留学を決める前に、まず行きたい国の下調べをしっかりすることも大切です。
1.海外へ留学してパティシエを学ぶ
欧米で製菓技術を教える学校は、短期間のレッスンから長期間の本格的コースまでカリキュラムも多岐にわたります。学生もすでにパティシエの経験がある人や、まったくの素人から学ぶ人だったりと様々です。
本場で学ぶということは、その国の洋菓子文化や伝統に触れながら、製菓技術を体得する絶好のチャンスです。そのチャンスを無駄にしないためにも、自分に合った学校選びはとても重要となります。
しかし「言葉の壁」はそう簡単にクリアできるわけではありません。せめて日常会話ぐらいのレベルは留学前にマスターしておくことが理想的です。
日本の製菓専門学校には、海外の提携校や系列の学校への海外研修を行っているところもあります。語学にあまり自信がない人は、専門学校が行っている海外研修プログラムを利用するのもひとつの方法です。
留学中にその国の語学学校に通いながら語学を習得することもできますが、留学することを決めている人は、少しでも早く、日本にいる時から語学学習をする事を強くお薦めします。
学び方は多種多様です。語学スクールに通ったり、オンラインで学んだり、もちろん独学だってできるでしょう。費用と時間を考慮しながら、自分に合った最適な方法を選びましょう。
語学の勉強をやり過ぎるということはありません。1年でも2年でも前から勉強する人も少なくありません。
2.海外のパティスリーで働く
海外のパティスリーで働きながら技術を習得する場合は、お店への紹介が必要な場合が多く、パティシエとしての経験が問われるケースが多いのが現実です。
また、海外のパティスリーで働くためには就労ビザが必要となりますが、最近は就労ビザの取得が困難になっています。
そのため、まずは海外に行って語学学校に通いながら、パティスリーで研修生として働く方法を選ぶ人も少なくありません。語学の勉強や給料を貰いながら、パティシエとしての技術を習得することも可能になります。
海外への語学学校への入学や、就労ビザの手配などは、自分ひとりでは難しいため、留学をコーディネートする会社を利用するのが良いでしょう。
留学や海外のパティスリーで働くメリット
メリットはやはり本場のお菓子作りを体得できることでしょう。
調理は美しさや盛り付けのセンスがとても必要になりますので、パティシエとしてのスキルアップだけではなく、感性を磨くことも大切です。
日本ではまだ知られていない、地方菓子と出会ったり、ベーシックで伝統的なお菓子作りの歴史や背景なども知ることができます。
地元の方に愛されているお菓子や高級菓子のお店などに直接出向き、実際に食べることができるのも大きなメリットです。
海外のお店で働くことによって、マイスターの技にじかに触れるれることもメリットです。マイスターをはじめ、同僚たちとの豊かな人間関係を築けることも大きな収穫となるでしょう。
デメリットは?
デメリットは「言語の習得」に時間と費用がかかることです。
学費や生活費などもかかります。学費や家賃は日本に比べると安いですが2年の留学の場合300万円~500万円は必要となります。(語学学校や専門学校によって費用は変わります)
海外で学ぶ場合は、まずは日本で働きながら貯金をして、語学教室に通いながら準備をして留学するケースが多いです。
調理系の場合は、年齢が高くても転職や就職しやすいので、20歳代後半や30歳代から海外へ留学する方も珍しくはありません。
独学でパティシエになる方法
独学で技術を習得するのは難しいといわれている業界ですが、そんな中でも、独学で製菓技術を身につけ、パティシエとして成功している人もいらっしゃいます。
「グーテ・ド・ママン」のオーナーパティシエで、ジャパンケーキショーの審査員や、東京洋菓子協会の理事を務める三富 恵子 氏などが有名です。
昔と違って、今は業務用の道具も購入しやすくなっており、本やインターネットでスイーツのレシピが多く公開されているので、独学でのパティシエも夢ではありません。
また、製パンから洋菓子へとジャンルを広げる方も少なくありません。
栄養、衛生などの知識も必要となりますが、全てを独学する必要はありません。衛生については短期間のスクールなどで学んでも良いでしょう。
パティシエとしての技術、知識を学びながら、パティスリーやホテル、レストランなどに就職するか、パティスリーを開店するかも考えておきましょう。
パティスリーとして開店するには、材料の仕入れや、接客、包装、レシピの開発、経営などについての知識や技術が必要となってきます。
パティシエとしての独立するからとお店をオープンする必要はありません。今の時代はインターネットの通販だけで、パティシエとして活躍することもできます。
特に、結婚式で使われる引出物(パウンドケーキ)や、ドラジェなどの引き菓子、プチギフトなどはネット通販でも人気のある洋菓子です。
まずは独学でパティシエとしての知識、技術を身に付け、ネット通販で開業して、パティスリーとしてお店をオープンする方法が堅実でしょう。
独学のデメリット
独学は自分の好きなジャンルのみをマイペースで学べることですが、その反面、基本的にすべて一人でやらなくてはならないので、特に最初の頃は分からないことが多いということです。
パティシエとして開業する場合は、食材、道具、価格設定、仕入れに配送と決断しなければならないことがたくさんあります。また、経営面でも相談できる人がいないと途方に暮れることも多いでしょう。
結局どの方法で学ぶのが良いのか?
現在、活躍している多くのパティシエが専門学校で学んでおり、学費として100万円~250万円ほどかかりますが専門学校で学ぶことをお薦めします。
本格的な調理器具、材料を使って、さまざまなスイーツを作ることができ、衛生や経営についての知識を学ぶこともできます。また、国家資格試験の一部免除や、就職のサポートも充実しているのも専門学校ならではのサービスです。
調理系の人材については30歳、40歳からでも受け入れる事も多く、社会人として会社で勤務しながら夜間の専門学校に通ってパティシエになる方もいます。
専門学校に通う学費が無い場合は、料理教室の洋菓子、和菓子のコースへ通う方法もあります。専門学校同様に本格的なスイーツ作りを学ぶことができます。学費も3万円~20万円ほどです。
料理教室の場合は、作り方のみを学ぶため、栄養・衛生、経営などについて学ぶことはできません。
パティシエに興味を持ったら、まずは1つでもスイーツを作ってみることをお薦めします。「パウンドケーキ」などは簡単にできるでしょう。
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