ウエディングのお仕事

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ブライダル業界の基本

神前式

神前式(しんぜんしき)は日本古来の伝統的なしきたりを重んじ、挙式は厳かな雰囲気の中で進行します。

新婦の髪型は文金高島田(ぶんきんたかしまだ)、衣装は白無垢+綿帽子、または色打掛、黒引き振袖+角隠し。

新郎の衣装は5つ紋付羽織袴が一般的な神前式のスタイルで、神殿の前で神主が司式者として挙式を進行していきます。

新郎新婦を含む親族全てが「家と家」として結びつくという考え方に基づいて、神前式での列席者は親族のみと制限されている場合がほとんどですが、最近ではその制約も無くなりつつあり、親しい友人、同僚なども列席することもあります。

もともと明治から1970年以前はホテルや、神社で結婚式(神前式)をおこない、披露宴は新郎宅やホテルに移動していました。

それが、ホテル・結婚式場が敷地内に神殿を建て、結婚式と披露宴が一箇所でおこなえるようになったことで神前式はホテル、結婚式場で挙げるカップルが多くなりました。

神社も披露宴ができる会場を併設するなど利用者のニーズに応えます。

神田明神や乃木神社などでは境内に専門式上を併設し、挙式後に披露宴ができます。また、明治神宮の系列である明治記念館は、会館内に神殿を有しているほか、明治神宮での挙式もできます。

神前式の流れ

神前式の一般的な進行は下記になります。神社、式場によっては順番や内容が異なります。

  1. 参進(さんしん)
    雅楽の音楽が演奏される中、斎主、巫女に先導されながら、新郎新婦、ご両親、親族が神殿へと歩いていきます。
  2. 修祓の儀(しゅばつのぎ)
    新郎新婦の身を清める儀式です。「修祓」とは心身を清めることで、斎主が新郎新婦、参列者をお祓いします。
  3. 斎主一拝(さいしゅいっぱい)
    これからおこなわれる婚礼の儀式を神様に報告するために、参列者全員が起立して、斎主の一拝に合わせて全員が一拝します。
  4. 祝詞奏上(のりとそうじょう)
    「祝詞(のりと)」とは、神様に祈る時に述べる言葉のことです。
    斎主が神様に結婚の報告と、末永い幸せをお祈りします。
  5. 巫女の舞
    新郎新婦、列席者を祝福して舞を踊ります。
    雅楽の「浦安の舞」が一般的です。浦安とは「安心、心配のない」ことです。
  6. 三献の儀(さんこんのぎ)
    「三三九度(さんさんくど)」とも呼ばれる儀式で、新郎と新婦が交互に神酒を大・中・小の盃で3回、合計9回飲みます。
  7. 指輪交換
    新郎新婦がお互いの薬指に指輪をはめます。
  8. 誓詞奏上(せいしそうじょう)
    新郎新婦が神様に夫婦の誓いを読み上げます。
    新郎が読み上げ、新婦は最後に名前だけを読むのが一般的です。
    「誓詞奏読(せいしほうどく)」とも呼ばれます。
  9. 玉串拝礼(たまぐしはいれい)
    「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」とも呼ばれます。
    神様と人の心を繋ぐ「玉串」を神殿に捧げます。玉串を備える作法があります。
    重要な儀式で、地鎮祭や葬儀の時におこなわれることもあります。
    玉串拝礼の作法
  10. 親族盃の儀
    両家が親族になる固めの盃になります。親族が盃で神酒を3回に分けて飲みます。
  11. 斎主挨拶
    斎主よりお祝いの挨拶があります。
  12. 退場
    巫女の先導して退場します。

神前式の歴史

日本には宗教に基づいた挙式は無く、花婿の家で花嫁、両家が集まって婚礼の儀式がおこなわれていました。仲人が花婿・花嫁を仲介して結婚は吉日におこなわれ、結納、三三九度、お色直しなどもおこなわれていました。

現在のように神前式の形式が考えられたのは明治時代からで、神宮奉斎会 大三代会長の篠田時化雄によって提案され、推し進められました。明治15年(1882年)篠田時化雄の結婚式には神前式の挙式が行われました。

神前式が広く注目されたのは、明治33年(1900年)に日比谷大神宮(現:大東京神宮)でおこなわれた大正天皇の結婚式からです。

その後、細川潤次郎が「新撰婚礼式」を発表。明治34年(1901年)には「新撰婚礼式」に基づいて神前で模擬挙式が行われ、翌年の明治35年(1902年)に日比谷大神宮で初めて現在のような神前式が行われました。

1970年代後半まで、チャペルが設備されているホテルや結婚式場はまだ少なく、神殿しか設備されていないため神前式による結婚式が一般的でした。

チャペルウエディングの流行

1980年代になってからチャペルを設備するホテルや結婚式場が増え始めます。

80年代当時のメイク、ヘアースタイルが和装よりウエディングドレスが似合ったことや、結婚式に牧師を派遣するブライダル宣教団が創立されたにより、チャペルウエディングが一気にブームとなります。

1980年後半からチャペルのみを設備した結婚式場、ホテルが次々とオープン。

バブル崩壊後にブームとなった「レストランウエディング」の店舗や「ハウスウエディング」の施設にも神殿が建てられることはほとんどありませんでした。

神前式の再ブーム

2000年から和装が再び注目されだし、披露宴でのお色直しに和装を着る新郎新婦も徐々に増えてきます。

さらに2000年半ばに芸能人が神社で結婚式をおこなったことから神前式が再び注目され、建物が西洋風の結婚式場でも神前式の神殿を建てるほど、神前式が再び人気となっています。

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